グアテマラのコーヒーは「まずい」?酸っぱい理由と美味しい淹れ方を解説

グアテマラのコーヒーは「まずい」?酸っぱい理由と美味しい淹れ方を解説

最近、お客様から「グアテマラってちょっと酸っぱくて苦手かも」というお話を伺うことがあります。実はネットで検索してみても、グアテマラコーヒーはまずいとか、酸っぱいから苦手といった声が意外と多いんですよね。せっかく評判の良いスペシャルティコーヒーを買ったのに、飲んでみたら口に合わなかったという経験をされた方もいるのではないでしょうか。

でも、その「まずい」と感じる原因は、もしかすると豆の品質そのものではなく、ちょっとした淹れ方の違いや、選んだ焙煎度が好みに合っていなかっただけかもしれません。この記事では、なぜグアテマラが酸っぱいと感じられるのか、その理由を紐解きながら、誰でも簡単に実践できる美味しい淹れ方のコツについてお話しします。

この記事でわかること
  • グアテマラコーヒーが「まずい」と感じられる具体的な原因と特徴
  • 酸味が苦手な人でも美味しく飲める焙煎度の選び方
  • お湯の温度や挽き目を調整して酸味を抑えるプロの抽出テクニック
  • コーヒータイムがもっと楽しくなる相性抜群のペアリングスイーツ
目次

グアテマラのコーヒーが「まずい」と言われる味の理由

「世界的に評価が高いはずのグアテマラコーヒーなのに、なんでこんなに酸っぱいの?」と感じたことはありませんか?

実は、私たちが「まずい」と感じる時、そこには明確な理由があるんです。ここでは、グアテマラ特有の事情や、私たちが普段飲み慣れている味とのギャップについて詳しく見ていきましょう。

グアテマラの特徴である強い酸味が酸っぱい

グアテマラの特徴である強い酸味が酸っぱい

まず一番大きな理由は、グアテマラコーヒーが本来持っている強烈なキャラクター、すなわち「酸味」の質と強さにあります。

グアテマラのコーヒー、特に標高の高い地域で採れる豆は、キレのある鮮やかな酸味(Acidity)が最大の特徴であり、世界的な評価基準でもあります。コーヒーの酸味には様々な種類がありますが、グアテマラの酸味はよく「青リンゴ(リンゴ酸)」や「柑橘類(クエン酸)」、時には「ブドウ(酒石酸)」に例えられます。これらは本来、フルーツのような爽やかさを演出するポジティブな要素です。

日本人の味覚と酸味のギャップ

しかし、私たち日本人の味覚文化において、コーヒーの酸味は長らく「劣化のサイン」や「刺激物」として捉えられてきた歴史があります。昔ながらの喫茶店で提供される深煎りの苦いコーヒーや、缶コーヒーの味に慣れ親しんでいる方にとって、グアテマラ特有の突き抜けるような明るい酸味は、「酸っぱくて刺激が強い」「胃にくる」といったネガティブな印象に直結しやすいのです。

特に、初めてスペシャルティコーヒーを飲んだ方が、このグアテマラの酸味に直面した時、「コーヒーじゃないみたい」「すっぱいジュースのようだ」と戸惑うケースは少なくありません。これは豆の品質が悪いわけではなく、むしろ高品質なグアテマラコーヒーほど酸味がはっきりしているという皮肉な現実があります。まずは「この酸味こそがグアテマラの個性であり、品質の証なんだ」と理解することが、美味しいと感じるための第一歩になります。

ここがポイント
「酸味」はグアテマラの個性そのもの。腐敗した酸味とは異なる「フルーツとしての酸味」であることを理解すると、味わい方が変わります。

酸味が苦手な人は浅煎りの青臭さが合わない

酸味が苦手な人は浅煎りの青臭さが合わない

近年、「サードウェーブコーヒー」というトレンドが定着し、多くのカフェやロースタリーで、豆本来のフルーティーな風味を最大限に残すために「浅煎り(ライトロースト〜シナモンロースト)」を採用するケースが増えています。

この浅煎りトレンドが、実は「グアテマラはまずい」という評価を加速させている側面があります。なぜなら、グアテマラの豆は非常に硬く肉厚であるため、浅煎りで豆の中心部(芯)までしっかりと熱を通すことが非常に難しいからです。

生焼け(アンダーディベロップメント)の問題

焙煎技術が未熟な状態で浅煎りに仕上げられたグアテマラコーヒーは、「生焼け(Underdeveloped)」の状態になりがちです。中心まで火が通っていない豆は、コーヒー本来の甘みや香ばしさが十分に生成されず、代わりに植物特有の「青臭さ(Grassy)」や「穀物のような臭い」「わらのような風味」が残ってしまいます。

さらに、生焼けの豆から抽出される酸味は、完熟フルーツのような甘さを伴った酸味ではなく、舌を刺すような鋭利で不快な酸味(メタリックな酸味)となります。「酸味が苦手」という方の中には、実は本来の良質な酸味ではなく、この生焼け特有のえぐみや鋭い酸味を「まずい」と感じているケースが非常に多いと推測されます。私自身も、しっかりと火が通っていない浅煎りのグアテマラを飲んだ時は、渋みがいつまでも口に残り、正直「うーん」となってしまいます。

最高等級SHBの豆は硬くて焙煎が難しい

グアテマラのコーヒー豆には、生産地の標高に基づいた厳格な等級(グレード)システムが存在します。標高が高いほど、昼夜の寒暖差が激しくなり、コーヒーチェリーがゆっくりと熟成するため、豆がギュッと引き締まって硬くなります。その最高ランクが「SHB(ストリクトリー・ハード・ビーン)」と呼ばれるものです。

(出典:Anacafé公式データ『Classification of Coffee by Altitude』)

以下の表は、グアテマラの主要な等級と標高の関係をまとめたものです。

等級(グレード)名称標高特徴
SHBStrictly Hard Bean1,350m以上最高等級。非常に硬く、酸味と香りが最強。焙煎難易度高。
HBHard Bean1,220m〜1,350m硬い豆。しっかりとした酸味とコクがある。
SHSemi Hard Bean1,070m〜1,220mやや硬い。酸味は比較的穏やか。
EPWExtra Prime Washed915m〜1,070m標高が低め。酸味が弱くマイルドで飲みやすい。

名前の通り、SHBは「厳格に硬い豆」です。この硬さは、豆の中に旨味や糖分が凝縮されている証拠であり、ポテンシャルの高さを意味します。しかし同時に、焙煎において熱が伝わりにくく、ハゼ(爆ぜ)のコントロールが難しいという難点も抱えています。

SHB(Strictly Hard Bean)とは?

標高1,350m以上で収穫された最高等級の豆。酸味と香りが強く、非常に硬いのが特徴です。グアテマラコーヒーの代名詞とも言えるグレードです。

焙煎士の腕が試される豆なので、たまたま買った豆が、その硬さに負けてうまく焙煎されていなかった場合、SHB本来の濃厚な甘みやボディ感が出ず、ただただ酸っぱいだけの薄っぺらい液体になってしまうことがあります。これが、「高いお金を出して最高級の豆を買ったのに、なんだかまずい」という悲劇を生む大きな原因の一つだと私は考えています。

酸化した豆や欠点豆が嫌な臭いの原因になる

「まずい」と感じる原因は、生豆の品質管理や、購入後の保存状態にある場合も無視できません。特にグアテマラのような酸味が特徴のコーヒーは、鮮度が落ちて酸化した際の味の劣化が顕著に感じられやすい傾向があります。

「良い酸味」と「悪い酸味」の違い

コーヒー豆は焙煎直後から炭酸ガスを放出し、酸素と触れることで脂質の酸化が始まります。酸化が進んだコーヒーは、喉に引っかかるようなイガイガ感や、腐った玉ねぎのような不快な酸味(酸化臭)を発します。これを本来の「フルーティーな酸味」と混同してしまうと、「グアテマラ=酸っぱくてまずい」という誤ったレッテルを貼りたくなってしまいますよね。

また、グレードの低い豆や、ハンドピック(選別)が甘い安価なブレンド商品には、「発酵豆(サワービーン)」や「カビ豆」といった欠点豆が混ざっているリスクがあります。特に発酵豆は、たった一粒混入するだけで、カップ全体の風味を酢のような強烈な酸味で汚染してしまいます。

注意点
スーパーなどで購入した粉の状態のコーヒーは、表面積が大きいため、開封前からすでに酸化が進んでいる可能性があります。できるだけ焙煎日が新しく明記されているもの、できれば「豆のまま」買って飲む直前に挽くのが、まずいコーヒーを避ける最良の防衛策です。

スタバの深煎りと比較して薄いと感じる場合

普段スターバックスなどのシアトル系コーヒーチェーンや、昔ながらの喫茶店のコーヒーを好んで飲んでいる方にとっては、スペシャルティコーヒーショップのグアテマラが「薄い」「水っぽい」「物足りない」と感じられることもよくあります。

苦味文化 vs 酸味文化

スタバのコーヒーは、基本的に「ダークロースト(深煎り)」が主流で、ミルクと合わせることを前提としたガツンとした苦味、焦げ感、そして重厚なボディ感(コク)があります。これに対し、グアテマラのシングルオリジンなどは、豆の個性を活かすためにミディアムロースト(中煎り)程度で仕上げられることが多く、口当たりがサラッとしていて、紅茶のような透明感があります。

この「苦味とコクを重視する文化」と「酸味とフレーバーを重視する文化」のギャップこそが、「まずい」という感想を生む大きな要因になっている気がします。「コーヒー=黒くて苦いもの」という期待値を持ってグアテマラを飲むと、その色の薄さと酸味の強さに、「これはコーヒーではない」と脳が拒絶反応を起こしてしまうのかもしれません。

グアテマラのコーヒーが「まずい」という評価を覆す淹れ方

グアテマラのコーヒーが「まずい」という評価を覆す淹れ方

ここまで「まずい」と言われる理由を見てきましたが、逆に言えば、その原因さえ取り除けば、グアテマラは驚くほど美味しく、奥深いコーヒーに変わります。グアテマラには、他の産地にはない「甘い香り」と「上品なコク」が隠されているのです。

ここからは、ご自宅で今すぐ試せる「酸味を抑えてコクを出す」ための具体的なテクニックを、プロの視点から詳しく解説していきます。

酸っぱくない淹れ方はお湯の温度を下げる

抽出テクニックの中で、一番簡単で、かつ効果が絶大なのが「お湯の温度を下げる」ことです。これは明日からすぐに実践できます。

温度と抽出成分の関係

コーヒーの成分抽出には法則があります。酸味成分は比較的低温でも素早く溶け出すのに対し、苦味や甘み、コクの成分は高温で時間をかけないと十分に出てきません。しかし、沸騰直後の熱湯(95℃〜100℃)で淹れると、タンニンなどの渋み成分や雑味まで一気に溶け出してしまい、角の立った刺激的な味になりがちです。

特に酸味が気になるグアテマラの場合、おすすめなのが82℃〜83℃くらいの少し低めの温度で淹れる方法です。

湯温抽出される味の傾向こんな時におすすめ
90℃以上苦味、コク、キレが強く出る。雑味も出やすい。苦味が欲しい時、浅煎りで酸味を出したい時
82℃〜85℃甘みと酸味のバランスが良い。まろやか。グアテマラの酸味を抑えたい時(推奨)
80℃以下酸味が目立つが、全体に薄くなる可能性あり。極端に苦味を抑えたい時

温度を80℃台前半まで下げることで、鋭い酸味の抽出を適度に抑えつつ、豆が持つ「甘み」を感じやすくすることができます。やり方は簡単です。やかんでお湯を沸騰させたら、一度ドリップポットやサーバーに移し替え、1分〜2分ほど待ちます。温度計がなくても、このひと手間で湯温は適温まで下がります。これだけで、味が驚くほどまろやかになり、「酸っぱい」が「爽やか」に変わる体験ができるはずです。

酸味が苦手なら中深煎りの豆がおすすめ

もしあなたが「抽出の工夫とか面倒くさい、とにかく酸っぱいのは嫌だ」というのであれば、解決策はシンプルです。豆を買う段階で迷わず「中深煎り(シティロースト〜フルシティロースト)」を選んでください。

焙煎度による魔法の変化

記事の前半でも触れましたが、コーヒー豆は焙煎が進むにつれて化学反応を起こします。グアテマラの豆は、深く焼くことで酸味成分が分解されて減少し、代わりに「メイラード反応」や「キャラメル化」によって、チョコレートのような甘い香りと濃厚なコクが前面に出てきます。

この「中深煎りのグアテマラ」こそ、多くの日本人が好む「キレのある苦味、しっかりとしたコク、そして後味に残るほのかな甘み」を楽しめるスイートスポットだと私は確信しています。酸味は完全に消えるわけではありませんが、苦味の裏側に隠し味として存在することで、味に奥行きを与える役割に変わります。

選び方のコツ
パッケージに「中深煎り」「シティロースト」「フルシティロースト」と書かれているものを選びましょう。お店の人に「酸味が少なくて、チョコレートのようなコクがあるグアテマラをください」と伝えるのが最も確実です。

挽き目を細かくしてコクを出す美味しい飲み方

ハンドドリップで淹れる際、豆の挽き具合(粒度・メッシュ)を変えることでも、酸味と苦味のバランスを自在にコントロールできます。

酸味が強すぎると感じる場合、あるいは味が薄いと感じる場合は、いつもより少しだけミルを調整して「細かく」挽いてみてください(中細挽き〜細挽き)。

粒度と表面積の科学

コーヒー豆を細かく挽くと、お湯と接する表面積が劇的に増えます。これにより抽出効率が高まり、短時間でも成分がしっかりとお湯に溶け出すようになります。特に、抽出の後半に出てくる「苦味」や「コク(ボディ)」の成分が多く抽出されるため、相対的に酸味の印象が弱まり(マスキング効果)、どっしりとした飲みごたえのあるコーヒーになります。

逆に、粗く挽くと成分が出にくくなり、酸味がクリアに感じられる軽いコーヒーになります。グアテマラの酸味を抑えたいなら、「細かめ」が正解です。ただし、細かすぎるとフィルターが詰まって抽出時間が長くなりすぎ、過抽出による「渋み」や「エグみ」が出てしまうので、少しずつ調整して自分好みのポイントを探ってみてくださいね。

チョコレートや羊羹とペアリングを楽しむ

チョコレートや羊羹とペアリングを楽しむ

「買った豆がどうしても酸っぱいけど、捨てるのはもったいない…」そんな時は、視点を変えてフードペアリングを楽しんでみましょう。コーヒー単体では気になった酸味が、甘いものと一緒に口にすることで、最高のアクセントに化けることがあります。

王道のチョコレートペアリング

特にグアテマラコーヒーは、ナッツやカカオのフレーバーを持っていることが多く、チョコレート系のスイーツとの相性が抜群です! コーヒーの酸味がチョコレートの濃厚な油脂分をさっぱりと洗い流し、同時にコーヒーの持つカカオ感がチョコレートの風味を引き立ててくれます。ブラウニーやガトーショコラがあれば最高です。

意外な組み合わせ:和菓子(あんこ)

そして、私つかさが個人的に猛プッシュしたいのが、「羊羹(ようかん)」や「どら焼き」などの和菓子とのマリアージュです。

和菓子とのマリアージュの秘密

グアテマラのしっかりしたボディと上質な酸味は、小豆の重厚な甘さに負けない強さを持っています。口の中で混ざり合うと、酸味がまるで上質な緑茶や抹茶のような働きをし、あんこの後味をスッキリと切ってくれます。

「コーヒーに羊羹?」と思うかもしれませんが、騙されたと思って試してみてください。特に深煎りのグアテマラと羊羹の組み合わせは、日本人でよかったと思える至福の時間をもたらしてくれます。「酸っぱくて飲みきれないかも…」と思った豆が、スイーツのお供として一軍入りすること請け合いです。

カルディなどで買える自分好みの産地を探す

一口に「グアテマラ」と言っても、実は国内に8つの主要な生産地域があり、産地(テロワール)によって味が全然違います。これを理解すると、より自分好みの豆を見つけやすくなります。

代表的な産地とその特徴

産地名特徴・フレーバーおすすめのタイプ
アンティグア
(Antigua)
火山性土壌由来のスモーキーさとコク、甘みのバランスが完璧。酸味と苦味のバランス重視。
失敗したくない人向け。
ウエウエテナンゴ
(Huehuetenango)
非常にフルーティーでワインのような酸味。華やか。酸味や果実感が好きな人向け。
サードウェーブ好きに人気。
コバン
(Coban)
曇りがちで雨が多い地域。マイルドで酸味も穏やか。強い個性が苦手で、
飲みやすさを求める人向け。

カルディコーヒーファームなどの身近なお店でも、「グアテマラ アンティグア」のように産地名のついたコーヒーが手に入ります。もし「酸っぱいのが嫌だ」という場合は、まずは王道の「アンティグア」の中深煎りから試してみるのが最も失敗の少ない選び方かなと思います。アンティグアは、しっかりとしたコクと甘みがあり、酸味が突出していないため、日本人にとって非常に親しみやすい味わいです。

まとめ:グアテマラのコーヒーは「まずい」という常識を変える

「グアテマラ コーヒー まずい」と検索してたどり着いた皆さんも、その理由がなんとなく見えてきたでしょうか。

グアテマラがまずいと感じられるのは、決して豆の品質が悪いからではありません。その原因の多くは、「グアテマラ特有の強い酸味への抵抗感」や「好みに合わない焙煎度」、「抽出時の温度高すぎ問題」など、ちょっとしたボタンの掛け違いによるものです。

今回ご紹介したように、お湯の温度を82℃まで下げてみたり、酸味を抑える中深煎りを選んでみたり、あるいは羊羹と一緒に楽しんでみたりすることで、グアテマラコーヒーは全く別の表情を見せてくれます。そのフルーティーな香りと、チョコレートのような深いコクは、一度ハマると抜け出せない魅力があります。

「まずい」で終わらせてしまうのはあまりにも勿体ない素晴らしいコーヒーです。ぜひ、この記事を参考に、あなたにとっての「最高に美味しいグアテマラ」を見つけてみてくださいね。それでは、良いコーヒーライフを!

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