コーヒー豆の品種と聞いて、ピンと来た方はかなりのコーヒーマニアの方ですね。
そんなマニアックなコーヒー豆の品種について、簡単に説明していきます。
この記事を読めば、ある程度コーヒー豆の品種が理解出来、コーヒー豆を購入する際に参考になると思いますので、ぜひ最後まで読んで頂ければと思います。
アラビカ種とロブスタ種
コーヒーはもともと紀元6〜9世紀くらいの間に東アフリカのエチオピアで発見されたと言われていますが、この最初に発見された原種がアラビカ種、ロブスタ種は19世紀に東アフリカのビクトリア湖の西側あたりで採集されたと言われております。
異なる特徴を持つアラビカ種とロブスタ種
僕らがカフェや家で淹れて飲む美味しいコーヒーは、ほぼアラビカ種のコーヒーとなります。
ロブスタ種は酸味がまったく無く、苦味とコクのみで、インスタントコーヒーや缶コーヒーなどの工業用か、安価なブレンドコーヒーなどに使われ、シングルオリジンコーヒーで使われることはほとんどありません。
アラビカ種は害虫や高温多湿に弱く栽培が難しい。そのため、南米、アフリカ、エチオピアなどの標高が高い(500m〜2300m)地域で栽培されています。対してロブスタ種は害虫にも強く、激しい環境の変化にもすくすく育つので、主にアジアなどの標高が低い(500m以下)の地域でも栽培されています。
アラビカ種は品質は高いが、収穫量が少ないため、近年では、アラビカ種とロブスタ種を交配させ、それぞれの良いところを兼ね備えたハイブリッド種も出てきている。
栽培品種(アラビカ種)
「栽培品種」とは、突然変異や環境によってさらに細かく枝分かれした「種」の下に位置する分類のことを指します。品種がほぼ一種類しかないロブスタに対して、アラビカ種は様々な栽培品種が存在しています。代表的な品種は「ティピカ」と「ブルボン」で、ほとんどの栽培品種はティピカかブルボンが起源となってます。
新しい品種より代表的なティピカやブルボンの方が質が高いという意見もあるが、その豆が美味しいコーヒーになるかどうかは、生産地の環境に左右されるので、一概に品種だけの問題とも言い切れないのが実情です。
ティピカ(Tipica)
ティピカはコーヒーが最初に発見されたときの原種に最も近いものと言われています。
エチオピアに自生していた原種が6〜9世紀の間にイエメンまで広がり、それを1699年にオランダの東インド会社がジャワ島へ移植して繁殖させ、1714年にオランダ政府からフランスに一本の苗が送られ、それをフランスの将校クリューが苦労して自国領だったマルティニーク島へ持っていったと言われているものがティピカの起源です。
特徴としては、先端が尖った細長い形です。
ブルボン(Bourbon)
ティピカの原種になったものが、イエメンから別ルートでブルボン島(現在のレユニオン島)に持ち出され、突然変異を起こしてティピカとは別の栽培品種として発達したものです。その後、東アフリカや中南米へと広がり、ティピカと並んで各地で生産されている2大栽培品種となっています。
特徴としては、ティピカより小粒で丸っこい形です。
カトゥーラ(Catura)
カトゥーラは、ブラジルでブルボンが突然変異したもの。1935年に発見され、ブラジルをはじめ、ハワイなどで栽培されています。
カトゥーラが黄色く変種になったものを「イエロー・カトゥーラ」と言います。
アラビカ種の栽培品種
アラビカ種が突然変異して出来た品種は沢山あります。ブルボンがコスタリカで突然変異した「ビジャ・サルチ(Villa Sarchi)」、ブルボンとスマトラの自然交配種「ムンド・ノーボ(Mundo Novo)」、ブラジルでティピカが突然変異した「マラゴジッペ(Maragogipe)」、ブルボンがエルサルバドルで突然変異した「パカス(Pacas)」
パカスとマラゴジッペを人工的に交配させた「パカマラ(Pacamara)」は粒が大きい事で有名である。カトゥーラとムンドノーボを交配させた「カトゥアイ(Catuai)」、ニカラグアのマラゴジッペとカトゥアイを交配させた「マラカトゥ(Maracatu)」など様々な栽培品種がありますが、いくつ知っていましたか?
上記はティピカかブルボンのどちらかを原種としていますが、「ゲイシャ(Geisha)」はどちらの系統にも属さない野生種となっています。
ハイブリッド種(アラビカ種とロブスタ種)
交配により新しい品種が誕生する
近年ではアラビカ種とロブスタ種を交配させたハイブリッド種がいくつか生まれています。
ロブスタ種が突然変異して染色体数がアラビカ種と同じになり、アラビカ種と自然交配して生まれた「ティモール(Timor)」、ティモールとカトゥーラを交配させた「カチモール(Catimor)」や「コロンビア(Colombia)」などが代表的なものです。
話題の品種ゲイシャ
1930年代にエチオピアで発見された希少な品種「ゲイシャ」は発見後、南米に渡りコスタリカのコーヒー研究所のもとで栽培されていたが、1963年にパナマのコーヒー生産業者セラシン氏が、自身の経営するドンパチ農園の他、パナマのいくつかの農園に配られて栽培がはじまりました。ところがゲイシャは思いのほか栽培が難しく、生産効率もそれほどよくなく、ほとんどの農園が栽培をやめてしまいました。
その後、数十年に渡り今ではかなり有名なエスメラルダ農園の一角のみでひっそりと栽培されていましたが、2004年のコーヒー品評会に出品されると、見事2位と大差をつけて優勝し、その後2007年まで4年連続優勝という快挙を達成しました。
オークションでは毎年最高落札額を更新し、ゲイシャはコーヒー界の話題の中心に、現在ではまさにスペシャルティコーヒーの象徴的品種にまでなっています。
気になるテイストは、花のような上品な香り、フルーツのような爽やかな酸味と後味が特徴です。僕も丸山珈琲さんにて頂きましたが、本当に香り高くフルーティーでとても癒されました。
なお、「ゲイシャ」という名前は日本の芸者ではなく、エチオピアのゲイシャ地区に自生していたからその名前が付きました。